この女乗物は津山松平家七代目当主、松平斉孝へ越前松平家より箏姫(そうひめ)の御輿(みこし)入れとして制作されたもので、両家の家紋が余すところなく蒔絵(まきえ)に散してあります。御家門筆頭の越前松平家の長子で、八代将軍徳川吉宗の曽孫である箏姫の御輿入れにふさわしい豪華な女乗物で、大国大名の威厳を伺うことができます。
高貴な女性が城外へ出掛けることが少なかった江戸時代では、当時の庶民も豪華な女乗物を目にする機会が稀であり、また現存するものは国内に数点のみと極めて数少ない文化財です。
(東建コーポレーション株式会社 所蔵)